塀で囲われた家  

「気に入った土地が見つかったので、見て欲しい。」と施主に言われ、その土地に立ったとき、最初に感じたのは、交通量の多さだった。付近の抜道となっている巾6mの道路は大型車通行禁止となっているにもかかわらず、バスもトラックも頻繁に通っていた。しかも、クランク状に土地を囲むように車が通るので、加速減速で、交通音も大きくなっているように感じた。

「もう一度、ご主人と二人で何時間かこの土地に立って、様子をみて我慢できるか確認して下さい。」とアドバイスをした。結局施主がこの土地の購入を決められましたので、この環境で快適に生活するためにとRCの塀で囲む事を提案いたしました。又、設計時点では南側隣地が空地で、広々とした雰囲気でしたが、隣地には北側いっぱい寄せて二階建てが建つだろうと容易に想像できましたので、敷地南側に縦長のカーポートを提案しました。カーポートと住宅を物干場で結びコの字型の中庭を造りました。カーポート、物干場が外部空間の重要なデザイン要素となるため、これらを木造とし、庭にできるだけ光を取入れるため屋根を波形ガラスで葺きました。

こうして囲われた中庭は、落着いたくつろげる空間となっています。純粋な庭の広さはそれ程広くありませんがカーポート、物干場を視覚的には庭の広がりと感じますので、広々とした外部空間を演出できました。

小さくまとまった玄関には、シューズクローゼットとコートクロークを用意しました。よく玄関は階段廊下にそのままつながっていることが多いのですが、人の出入で外気にさらされる部分ですので、できることなら小さく独立させたほうが良いと考えています。

丁度大きなビルの出入口を二重にしてある風除室と同じ考えです。居間は12.3帖と近ごろの住宅としては小さめですが、吹抜けとなって階段、二階の廊下と空間を共有することで、実際に感じる広さは二倍以上となっています。又食堂との引分け戸を開放す事でそれ以上の広がりを感じることができます。吹抜けの居間といってもソファに腰掛ける部分は天井を下げて落着けるコーナーを造るのも良いもので、機能的には読書用の照明エアコンの設置スペースとなります。 食堂には二匹の犬も同居するとの事でしたので、ケージの設置位置を予め設定し、全熱交換換気扇(ロスナイ)を設置しました。これによつて犬の臭気だけでなくケージ廻りにあったしめり気もなくなったそうです。

二階廊下は一階居間との続きの空間で北側壁にそって長い机を設置し、ご主人の書斎スペースとなるよう考えました。子供室は二室の仕切壁を嵌め殺し戸で造り将来一室のような使い勝手も可能となっています。寝室は8帖と決して広くありませんが、4.5帖のクローゼットを設置しましたので余計な物が寝室へ出てこない分返って広く感じられると考えました。

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